『狂乱の一夜~TOKYO GO’S誕生の夜~』
やっと前回 の続きです。
猛り狂う夜。
いよいよ我々はステージに立つ。
設備はしょぼい・・・。CDラジカセとマイクのみだ。照明や映像もない。
我々にとってここまでやってきたという自信だけが唯一の頼りだった。
メンバーは4名。皆同期の新入社員だ。私以外の面子はというと・・・
NO.1ダンサー&炎のナンパ師『ナイトウェスタンラリアットW』
※最近新築マンションも購入し、6月には長男も誕生予定が
ある、とても同年代には見えないほど貫禄をました通称”鬼”。
テーマ曲:サンライズ(スタン・ハンセン)
女装が良く似合う元祖”社ニート(注)”『SPAリーマン』
※現在、ある商社の人事やっています。ダマシ系の爽やか笑顔で
就活学生を惑わせているらしい。
(注)社ニート=社内ニート 会社に属しながらニート同然の生活を
送る人の事 主な行動として営業に出ると行って家で昼寝してしまう等
テーマ曲:クラッシュ(蝶野正洋)
脇の甘さが目立つ異色の農業系大学出身”紅一点”『ザ・ワッキー』
※現在日本の最北端で普通に2児の母。この夜の出来事は家族に
秘密です。
テーマ曲:必殺仕事人(永源遥)
まずは私が単独で入場。この頃衣装面でのエンタメ力が乏しく、
浴衣姿でそれを脱ぐと江頭同然といった出で立ち。
そして、私のMCの後、各自テーマ曲に合わせて入場。
私と同様の出で立ちで『ナイトウェスタンラリアットW』が現れ、おなじみのウィー。
『SPAリーマン』と『ザ・ワッキー』は浴衣の下がボディコン(死語)という際どい姿。
既にこの段階である程度観客は出来上がりつつあった。
宴会エンタメ鉄則その1.入場を大事にしろ
中にはこの入場が芸だと思った輩もいたらしい・・・。
そして場内に『LOVEマシーン』が流れる。
「なんだ・・・やっぱ『LOVEマシーン』じゃん」そんな声も聞かれた。
どうやらネタばれらしい。しかしおかまいなしだ。
宴会エンタメ鉄則その2.定番で観客の想像を越えろ
観客が予想出来る定番でも良い。宴会芸など彼らも大きな
期待はしていない。そこで彼らが勝手に作った低レベルの
イメージを大きく超えてやれば良いだけの話。極端な話
完成度を上げれば今年の忘年会にマツケンをやったって良い訳だ。
そして、実に我々は気持ち良く、時折アドリブも入れながら、日本でも
早い部類に入るであろう、『LOVEマシーン』を最後まで踊り切った。
観客は最後までヒートしっぱなしであった。我々は覚醒した。
宴会エンタメ鉄則その3.笑いよりもヒートを誘え!盛り上げろ!
もちろんコントOK。一発芸OK。演奏系OK。大歓迎である。
しかし、これらはこける・すべる・寒いの三拍子のリスクをはらんでいる。
それに引き換えヒート系エンタメ(やはりダンスかな)はきっちり練習さえ
すれば盛り上がりやすい。我々は明らかに成功すると分かっている事を
やったまで。そして何よりクオリティに拘り、想定したプロセスを一つずつ
きっちりクリアしていった結果がこの日の成功を呼んだのだろう。
こうして、今後我々の様々なエンタメを支える事となる『TOKYO GO’S』
というムーブメントがこの日生まれたのであった。